百姓から見た戦国大名を読んで

百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)

百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)

戦国大名と言うと、大名本人を英雄として捉える見方が一般的だが、社会システムとして見ると、会社の社長や国の元首のような組織の一機関であること、大名が傘下の村の動向によって成り立っているという、ある意味で今の国会議員のような流動的な存在だったことが印象的だった。
戦国時代は日常的に飢餓が発生しており、村同士が互いの存続のために、奪い合っている内戦状態で、戦国大名同士の合戦も村が存続するために行われていたようだ。
そして大名は村を存続させることができなければ、自身も存続することができず、北条氏を筆頭に様々な施策を行っており、そのなかには江戸時代にも行われていたものも多々あった。
また、戦国大名が村の存続に責任を負うシステムは、戦国末期には、大名の領国を国と捉え、傘下の村にお国のための奉仕を求めるまでになっていた。
戦国大名を社会システムとして捉えることで、今まで自分が知らなかった役割が見えてきて、面白かった。