読書

寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)

寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)

図書館で小説やエッセイ、新書等を借りてきて読むのが、僕のささやかな趣味です。
最近は歴史関係の新書を読むのが楽しいです。
この前、「寺社勢力の中世」(著者:伊藤正敏/ちくま新書)という本を借りました。
平安後期から戦国時代において、延暦寺等の大規模寺社が勢力を持つに至った流れに始まり、寺社を中心として都市が成立していた様子や、それに付随する土倉・馬借・神人等の経済的要因を説明しています。
印象的だったのは、鎌倉幕府室町幕府等の公式文書はほとんど散逸しており、高野山等の大規模寺社に残っている内部文書を通してしか法令や統治機構の構造をうかがい知ることができないこと、寺社の広大な境内に神人やさまざまな人々が暮らし、宗教都市の呈をなしていたこと、神輿に対しての中世の人々の畏怖の念(武士でさえ恐れている)です。
中世における寺社及びそれに係る人々の精神的・経済的な影響力の大きさを再認識することができました。
網野善彦等が好きな、武士と百姓以外の日本史を読みたい方にはお薦めです。