繰り返される悲劇


また新しい施設整備の業務に加わることになる。
三年に一回のペースで施設が開設されており、去年出来たと思ったら、また再来年開設で計画を進めるようだ。
僕が現場に来たのは、五年前に増床と新設の二件に関わって、もう事務員はこりごりだと思ったからだし、もう大丈夫かと思ったら、去年の新設の件で一昨年の夏からしんどい思いをした。
再来年四月の開設に向けて暫く憂鬱な日々になりそうだ。
今日は休みだが、夜に宿直が入っている。
こういう日は一日落ち着かなくて、休んだ気がしない。
施設に向かう途中、車から外の景色を観ていると、独身時代に休みの日の夜に空手の道場に通っていた日を思い出した。
あの時は屠殺場に連れていかれる家畜のような気分だった。
やってて楽しいならともかく、下手くそでモチベーションも低いのに、辞めるに辞められなくて悲惨な状況だった。
宿直は飯を食って、巡回して寝るだけだし、明日働いたら日曜は休みで、かなりマシだ。
夜に出勤する時、母と嫁さんと息子が見送ってくれた。
あの頃との違いは、しんどさだけじゃなくて、支えてくれる人の有無もあるかも知れない。